この文庫本には11編の短編小説が収録されていて、私はその中の「神神の微笑」を読みたくて購入した。内容は明かさないが、35年間という短い人生の中で、これほど成熟した文を書けたのかと、改めて驚愕する。精神的に、成長するスピードが現代人よりも遥かに速かったと見える。現代語の小説や新聞に慣れてしまって、このような大正文学に触れる事もそうなかったので、時に文章表現や語彙が難しいながらも、良い刺激をもらったと思う。
恥ずかしながら、芥川があのように宗教(この書においては特に、彼が「天主教」と呼ぶカトリック教会)に精通していたとは知らなかったし、それに関連するポルトガル語から日本語化されたボキャブラリーまで披露していたのには驚いた。末尾にある注解を参照しつつ本文と行ったり来たりしながらの読書は骨が折れるが、大変興味深い内容だった。
さて、「神神の微笑」の中で、芥川は、登場人物の口を借りて「日本とはこういう国だ」ということを見事に説いた。大正時代に書かれた文章が、昭和、平成を駆け抜けて、令和の日本に語りかけるその文章は力強く痛快だ。未来を見越して、お叱りを受けているかのようでもある。
このような世界にご興味のある方、ぜひご一読をお勧めする。
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奉教人の死 (新潮文庫) 文庫 – 2001/9/1
芥川 龍之介
(著)
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購入オプションとあわせ買い
悪魔の指に、背中を押される……。
先駆的作品と名高い「切支丹もの」11編を収録。
芥川は殉教者の心情や、東西の異質な文化の接触と融和という課題に興味を覚え、近代日本文学に“切支丹物"という新分野を開拓した。文禄・慶長ごろの口語文体にならったスタイルで、若く美しく信仰篤い切支丹奉教人の、哀しいが感動的な終焉を格調高く綴った名作「奉教人の死」、信仰と封建的な道徳心との相剋に悩み、身近な人情に従って生きた女を描く「おぎん」など、11編を収録。
たとひ三百歳の齢を保ち、楽しみ身に余ると云ふとも、未来永々の果しなき楽しみに比ぶれば、夢幻の如し。――(慶長訳Guia do Pecador)――
(「奉教人の死」冒頭)
目次
煙草と悪魔
さまよえる猶太人
奉教人の死
るしへる
きりしとほろ上人伝
黒衣聖母
神神の微笑
報恩記
おぎん
おしの
糸女覚え書
注解 神田由美子
解説 小川国夫
本書「解説」より
「奉教人の死」…私たちはしばしば、芥川の古文書を創作する腕前に感心するのですが、これはその一例です。あえて芥川流の特徴をあげるなら極彩色をもってする嗜虐趣味ですが、それも含めて、破綻なくキメてみせます。そして、更に周到に、出典までくわしく説明して、どこまでがこしらえごとで、どこまでが本当なのか見分けがつかないようにしてあります。
――小川国夫(作家)
芥川龍之介(1892-1927)
東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。1925(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。
先駆的作品と名高い「切支丹もの」11編を収録。
芥川は殉教者の心情や、東西の異質な文化の接触と融和という課題に興味を覚え、近代日本文学に“切支丹物"という新分野を開拓した。文禄・慶長ごろの口語文体にならったスタイルで、若く美しく信仰篤い切支丹奉教人の、哀しいが感動的な終焉を格調高く綴った名作「奉教人の死」、信仰と封建的な道徳心との相剋に悩み、身近な人情に従って生きた女を描く「おぎん」など、11編を収録。
たとひ三百歳の齢を保ち、楽しみ身に余ると云ふとも、未来永々の果しなき楽しみに比ぶれば、夢幻の如し。――(慶長訳Guia do Pecador)――
(「奉教人の死」冒頭)
目次
煙草と悪魔
さまよえる猶太人
奉教人の死
るしへる
きりしとほろ上人伝
黒衣聖母
神神の微笑
報恩記
おぎん
おしの
糸女覚え書
注解 神田由美子
解説 小川国夫
本書「解説」より
「奉教人の死」…私たちはしばしば、芥川の古文書を創作する腕前に感心するのですが、これはその一例です。あえて芥川流の特徴をあげるなら極彩色をもってする嗜虐趣味ですが、それも含めて、破綻なくキメてみせます。そして、更に周到に、出典までくわしく説明して、どこまでがこしらえごとで、どこまでが本当なのか見分けがつかないようにしてあります。
――小川国夫(作家)
芥川龍之介(1892-1927)
東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。1925(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。
- ISBN-104101025045
- ISBN-13978-4101025049
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日2001/9/1
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ256ページ
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出版社より
羅生門・鼻 | 地獄変・偸盗 | 奉教人の死 | 河童・或阿呆の一生 | 侏儒の言葉・西方の人 | |
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カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.4
184
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90
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63
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5つ星のうち4.1
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価格 | ¥407¥407 | ¥407¥407 | ¥473¥473 | ¥440¥440 | ¥473¥473 |
【新潮文庫】芥川龍之介 作品 | 王朝の説話物語にあらわれる人間の心理に、近代的解釈を試みることによって己れのテーマを生かそうとした”王朝もの”第一集。 | 地獄変の屛風を描くため一人娘を火にかけて芸術の犠牲にし、自らは縊死する異常な天才絵師の物語「地獄変」など”王朝もの”第二集。 | 殉教者の心情や、東西の異質な文化の接触と融和に関心を抱いた著者が、近代日本文学に新しい分野を開拓した”切支丹もの”の作品集。 | 珍妙な河童社会を通して自身の問題を切実にさらした「河童」、自らの芸術と生涯を凝縮した「或阿呆の一生」等、最晩年の傑作6編。 | 著者の厭世的な精神と懐疑の表情を鮮やかに伝える「侏儒の言葉」、芥川文学の生涯の総決算ともいえる「西方の人」「続西方の人」など4編。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (2001/9/1)
- 発売日 : 2001/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 256ページ
- ISBN-10 : 4101025045
- ISBN-13 : 978-4101025049
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 75,232位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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(1892-1927)東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。
その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。1925(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。
イメージ付きのレビュー
5 星
芥川という人、そして宗教
この文庫本には11編の短編小説が収録されていて、私はその中の「神神の微笑」を読みたくて購入した。内容は明かさないが、35年間という短い人生の中で、これほど成熟した文を書けたのかと、改めて驚愕する。精神的に、成長するスピードが現代人よりも遥かに速かったと見える。現代語の小説や新聞に慣れてしまって、このような大正文学に触れる事もそうなかったので、時に文章表現や語彙が難しいながらも、良い刺激をもらったと思う。恥ずかしながら、芥川があのように宗教(この書においては特に、彼が「天主教」と呼ぶカトリック教会)に精通していたとは知らなかったし、それに関連するポルトガル語から日本語化されたボキャブラリーまで披露していたのには驚いた。末尾にある注解を参照しつつ本文と行ったり来たりしながらの読書は骨が折れるが、大変興味深い内容だった。さて、「神神の微笑」の中で、芥川は、登場人物の口を借りて「日本とはこういう国だ」ということを見事に説いた。大正時代に書かれた文章が、昭和、平成を駆け抜けて、令和の日本に語りかけるその文章は力強く痛快だ。未来を見越して、お叱りを受けているかのようでもある。このような世界にご興味のある方、ぜひご一読をお勧めする。
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2024年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この文庫本には11編の短編小説が収録されていて、私はその中の「神神の微笑」を読みたくて購入した。内容は明かさないが、35年間という短い人生の中で、これほど成熟した文を書けたのかと、改めて驚愕する。精神的に、成長するスピードが現代人よりも遥かに速かったと見える。現代語の小説や新聞に慣れてしまって、このような大正文学に触れる事もそうなかったので、時に文章表現や語彙が難しいながらも、良い刺激をもらったと思う。
恥ずかしながら、芥川があのように宗教(この書においては特に、彼が「天主教」と呼ぶカトリック教会)に精通していたとは知らなかったし、それに関連するポルトガル語から日本語化されたボキャブラリーまで披露していたのには驚いた。末尾にある注解を参照しつつ本文と行ったり来たりしながらの読書は骨が折れるが、大変興味深い内容だった。
さて、「神神の微笑」の中で、芥川は、登場人物の口を借りて「日本とはこういう国だ」ということを見事に説いた。大正時代に書かれた文章が、昭和、平成を駆け抜けて、令和の日本に語りかけるその文章は力強く痛快だ。未来を見越して、お叱りを受けているかのようでもある。
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恥ずかしながら、芥川があのように宗教(この書においては特に、彼が「天主教」と呼ぶカトリック教会)に精通していたとは知らなかったし、それに関連するポルトガル語から日本語化されたボキャブラリーまで披露していたのには驚いた。末尾にある注解を参照しつつ本文と行ったり来たりしながらの読書は骨が折れるが、大変興味深い内容だった。
さて、「神神の微笑」の中で、芥川は、登場人物の口を借りて「日本とはこういう国だ」ということを見事に説いた。大正時代に書かれた文章が、昭和、平成を駆け抜けて、令和の日本に語りかけるその文章は力強く痛快だ。未来を見越して、お叱りを受けているかのようでもある。
このような世界にご興味のある方、ぜひご一読をお勧めする。
このレビューの画像
2018年4月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み始めて、昔読んだことを思い出しました。芥川龍之介がこんなにキリスト教関連の作品を書いていたとは認識してなかったので、新しい発見でした。
2022年12月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
クリスチャン、キリシタンものは遠藤さんが素晴らしいが芥川解釈も日本人として納得。
2017年10月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題作を始め日本におけるキリスト教がテーマ。特に虚実取り混ぜて本物らしき擬古文で書かれた作品が特徴か。私には本物の古文献としか読めなかったが、文学的に粋を極めた感があり、芥川の才能には感服。ただし当然ながら読みにくく敷居が高いのは否めない。
それはともかく内容的にもそれほど光るものはないように思ったのは。私自身の興味関心の問題か。普通の現代日本人にオススメの内容ではない。
それはともかく内容的にもそれほど光るものはないように思ったのは。私自身の興味関心の問題か。普通の現代日本人にオススメの内容ではない。
2016年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近流行りのミステリーより怖い。短編ばかりだから手軽に読めると思っていたら、芥川特有の毒々しい展開。何回も読みなおして恐怖体験をたっぷり味わいました。「懺悔」は怖い。真冬の夜に鳥肌が立ちました。
2022年1月24日に日本でレビュー済み
いわゆる切支丹物を集めている。表題作をはじめとして、昔の口語を再現したかのような不思議な古文で書かれているものは、こんな凝った作りごとをしなくても良いのにと思う反面、それが独特の効果をあげているのも事実だ。
この一冊を読み終えると、特別な世界に行って帰ってきたかのような不思議な感じを味わう。たいした力量だと感服する。
この一冊を読み終えると、特別な世界に行って帰ってきたかのような不思議な感じを味わう。たいした力量だと感服する。
2013年10月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良いですねえ~旧仮名遣いの、しかも漢字の多い文章・・・^^偽善への痛烈な皮肉。繰り返されていく人生の苦悩。
最近、夏目漱石や芥川作品が気になっています。日本人らしさと外国のものを受け入れていく過程における苦悩のようなもの。
加えて繊細な人物描写など。今スマホなどが普及して世界はスピードを増しましたが、深くゆっくり考えることもまたいいものです。
また今は世界が狭くなりましたが、日本人の持つ繊細さに触れるのもいいものですね。、味わい深くて・・・
最近、夏目漱石や芥川作品が気になっています。日本人らしさと外国のものを受け入れていく過程における苦悩のようなもの。
加えて繊細な人物描写など。今スマホなどが普及して世界はスピードを増しましたが、深くゆっくり考えることもまたいいものです。
また今は世界が狭くなりましたが、日本人の持つ繊細さに触れるのもいいものですね。、味わい深くて・・・
2020年12月5日に日本でレビュー済み
近代日本文学に「キリシタンもの」という新分野を開拓した芥川の短編傑作集。特に題名となった「奉教人の死」は、感動的な終末が胸を撃つ。似た物語は、白隠禅師にもあるが、本書は特に若く美しい「ろおれんぞ」という主人公の信仰心の篤さが感動的である。